事業承継・M&Aの際に注意すべき許認可について

事業承継を行う際、特に許認可に関しては重要な注意点がいくつかあります。許認可を適切に引き継がないと、事業の運営が停止したり、法的問題に発展する可能性があります。以下、事業承継における許認可に関する注意点を解説します。

1. 許認可の承継可否の確認
許認可には、事業者の名義に基づくものが多くあり、そのため承継が自動的にできない場合があります。

個人事業主の場合: 許認可は個人に付与されることが多いため、事業を法人化したり、第三者に譲渡する際に許認可の再取得が必要となることがあります。
法人の場合: 法人に対して許認可が付与されている場合、株式の譲渡や役員変更で許認可が引き継がれるケースもありますが、名義変更や更新手続きが必要になることがあります。

 

2. 許認可ごとの手続き要件の確認
許認可には、それぞれ異なる承継手続きが定められています。例えば、以下の点を確認することが必要です。

承継手続きが可能かどうか: 許認可によっては、事業者が変わる場合には、新たに許認可を取得し直さなければならないものもあります。
必要な書類: 役員変更や代表者変更に伴い、提出すべき書類が異なるため、事前に管轄官庁に確認することが重要です。

 

3. 許認可の有効期間の確認
許認可には有効期限があるものがあります。事業承継時に、その有効期間が切れていないか、更新が必要でないかを確認することが大切です。特に、許認可が有効でないと事業活動が停止されるリスクがあります。

 

4. 許認可の引き継ぎに必要な承認や届出
管轄官庁の承認: 一部の許認可は、承継するために管轄官庁の承認が必要な場合があります。例えば、医療や福祉、建設業などの一部の業種は、事前に承認を得る手続きが求められます。
届出: 許認可が不要でも、事業者変更の届出が必要なケースもあります。届出を怠ると法的な問題になる可能性があるため注意が必要です。

 

5. 特定の業種の許認可における注意点
建設業: 建設業許可は、許可業種ごとに細かい要件が設定されており、承継に際して追加の審査が必要なことがあります。
医療・福祉関連事業: 医療機関や介護施設の運営には、特別な許可が必要であり、事業承継時にも厳格な承継手続きが求められます。

 

6. 許認可承継のタイムラインの確認
許認可の承継手続きには時間がかかる場合があり、事業承継のスケジュールを立てる際には余裕を持つ必要があります。特に、許認可の更新や再取得に数ヶ月かかるケースもあるため、早めの準備が必要です。

 

事業承継やM&Aの際に、例えば建設業許可の承継による認可を完了していないと不許可の状態になるため、請負額500万円以上の工事を請け負うことはできません。実例としては、買い手側の会社に建設業許可に必須な経営管理責任者や専任技術者の要件を満たす役員や従業員がいないため、許可を取り下げすることになった会社があります。その後に要件を整え改めて新規の申請で許可を取得することになりましたが、時間とコストが更にかかることになりました。

事業承継における許認可の取り扱いは、事業の継続性に直接影響する重要な要素です。事前に承継可能かどうか、必要な手続きを確認し、適切な準備を行うことで、スムーズな事業承継が可能となります。