自筆証書遺言、遺言書保管制度について行政書士が解説します!!
🧾 自筆証書遺言とは?
✅ 概要
遺言者が全文・日付・署名を自書(手書き)で作成し、押印する形式の遺言。
費用がかからず、誰でも簡単に作成できるが、形式不備で無効になるリスクが高い。
✅ メリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
自由に書ける | 書式不備が原因で無効になるリスクがある |
費用がほとんどかからない | 死後、家庭裁判所での「検認」が必要 |
いつでも書き直せる | 紛失・改ざん・未発見のリスクあり |
🗄️ 遺言書保管制度とは?(法務局)
✅ 制度概要(2020年7月10日開始)
自筆証書遺言を法務局で保管してもらえる制度。
法務局で「方式面のチェック」があり、保管された遺言書は検認不要になる。
保管申請には、遺言者本人が法務局に出向く必要あり(代理不可)。
✅ メリット
内容 | 解説 |
---|---|
紛失・改ざんリスクがない | 法務局が保管してくれるため安心 |
検認不要 | 裁判所での検認手続きが不要に |
安価な手数料 | 保管費用は 3,900円(2025年現在) |
🧑💼 行政書士ができること・できないこと
項目 | 行政書士が対応可能か? | 解説 |
---|---|---|
自筆証書遺言の文案作成支援 | ✅ 可能 | 法律的に問題のない内容になるよう助言・作成支援できる |
公正証書遺言の手続き代理 | ✅ 一部可能 | 作成準備や証人引受は可能。公証人とのやり取りも補助 |
遺言書保管制度の説明・支援 | ✅ 可能 | 制度の説明や申請書類の準備補助など可能(ただし本人出頭は必須) |
法務局への保管申請の代理 | ❌ 不可 | 遺言者本人でないと保管申請できない(法律上) |
相続争いの代理・交渉 | ❌ 不可 | 裁判・調停・交渉は弁護士の業務。行政書士は対応不可 |
🗂️ 行政書士に相談した方がよい場合
自筆証書遺言を書きたいが法的に不備のない内容にしたい
家族間トラブルが起きないように丁寧に文面を整えたい
法務局への保管申請書類の準備をサポートしてほしい
公正証書遺言と迷っていて比較アドバイスがほしい
遺言書保管制度の利用状況について、制度開始から4年後の2024年7月時点で、全国の法務局に保管された自筆証書遺言の件数は79,128件に達しています。これは、制度開始当初から増加傾向にあり、利用者の増加が続いていることを示しています。
「遺言書」と「争続(そうぞく)」というキーワードは非常に重要な関係にあります。
ここでは、「争続」=相続トラブルを防ぐために遺言書がどのように役立つか、そして注意点について詳しく解説します。
⚠️ 「争続」とは?
「相続」が「争い」に変わると「争続(そうぞく)」になります。
これは、相続人同士が遺産分割でもめることを意味する造語で、実際によくある問題です。
代表的な争続の例:
トラブル例 | 内容 |
---|---|
遺言がない | 誰に何をどれだけ相続させるか不明で、相続人間の争いに発展 |
特定の相続人だけ優遇 | 「あの人だけ多くもらっている」と不公平感から不満 |
遺言の内容が不明瞭 | 書き方に不備があり、法的に有効かどうかが問題に |
介護した子としなかった子で対立 | 「世話をしたから多くもらうべきだ」と主張する相続人が現れる |
🧾 「遺言書」で争続を防ぐ方法
✅ 有効な遺言書があると…
誰に、何を、どれだけ渡すかが明確に決まっている
家族が判断で迷う余地がなくなる
意思表示が法的に明確なので、相続手続きもスムーズ
🖋 遺言書の種類と「争続」への影響
遺言の種類 | 概要 | 争続防止効果 |
---|---|---|
自筆証書遺言 | 手書きで作成(法務局保管制度あり) | 内容に不備があると無効になるリスクがあるため、注意が必要 |
公正証書遺言 | 公証役場で作成。公証人+証人2人が立ち会う | 最もトラブルになりにくく、強力な証拠になる |
秘密証書遺言 | 内容を秘密にしたまま公証役場に預ける方式(今はほとんど使われない) | 不備リスクは残るのであまり推奨されない |
💡 遺言書作成で「争続」を防ぐポイント
すべての財産を明記
→ 曖昧にせず、誰にどの財産を渡すか具体的に書く遺留分に配慮
→ 法定相続人には最低限の取り分(遺留分)がある。完全無視すると無効になる可能性も付言事項を活用する
→ 「なぜこのような分け方にしたか」を想いとして記すことで、心情的な納得を促す公正証書遺言で確実性を高める
→ 最もトラブル回避に向いており、家庭裁判所での検認も不要
🧑💼 行政書士にできること
項目 | 対応可能か | 補足 |
---|---|---|
遺言書の文案作成支援 | ✅ 可能 | 法律に沿った内容で、争いの芽を事前に摘む支援が可能 |
相続人調査・財産調査 | ✅ 可能 | 登記簿や戸籍を取得して調査可能 |
公正証書遺言作成の支援 | ✅ 可能 | 公証人との調整、証人の手配なども行える |
遺産分割協議書の作成 | ✅ 可能 | 相続人間での合意を文書化。 |
✅ まとめ:遺言書は「争続」を防ぐ最良の対策
家族を争わせない、という“愛情”が、遺言書です。
自筆でも、公正証書でも、「明確に書くこと」が大切。
行政書士の支援を受ければ、形式・内容の不備を避けて、家族に安心を残せます。